北海道物産展で札幌の「プルマンベーカリー」のパンを買った時に、
プルマン、をプアマン、に空目して、
創業者の方が苦労された系?とか思ってしまったんですが、プルマン、って四角い食パン(角食パン)のことなんですね。
そういえば、セントルザベーカリーの食パンにもプルマンという食パンがあったな。
また、プルマンベーカリーの他にも、プルマン堂など、パン屋さんの店名に「プルマン」を使っているところがありました。
なんで四角い食パンを「プルマン」っていうんでしょうかね?
多く言われている説では、角食パンが最初に作られるようになった19世紀終わりごろの鉄道車両に関係があるそう。
目次
札幌プルマンベーカリーの店名の意味
「プルマンベーカリー」では、店名の由来について、公式サイトで次のように説明しています。
「プルマン」とは19世紀終わりに初めて角食パンを作ったと言われるプルマン氏の「人とは違う新しい発想を持つ」と、英語でのPull(引っ張る)Man(人)の2語を掛け合わせ「人を引きつけ引っ張る」と言う両方の思いが込めています。
https://www.pullmanbakery.com/aboutus/
プルマンブレッド(プルマンブレッド)の由来についての一般的な説
一般的には、
鉄道車両の製造・寝台車の運行業務を行うプルマン社と、四角い食パンを関連付けている説が主流のよう。
大別すると、
1.プルマン社が製造・運行する寝台車の食堂車で角食パンが焼かれていたため、四角い食パンをプルマンと呼ぶようになった
2.四角い食パンが、プルマン社の寝台列車の車両の形に似ているからプルマンと呼ぶようになった
パン型に丸く成形した生地を入れて、蓋をしないで焼くと山型パンになり、
型に蓋をして焼くと上が抑えられるので四角いパンになります。
もともとは、蓋をしないで山型(イギリスパン)に焼いていたものを、アメリカでは蓋をして焼くようになった理由も2説あり、
A.大量に生産して運搬するときにトップが平らな方が扱いやすいから
B.食堂車内のオーブンが小さくて山形パンを焼くことができず、蓋をして焼くようにしたから
一般的に知られている、「四角い食パンをプルマンと呼ぶ理由」は、1、2、A、Bの、この4つが組み合わせられています。
例)
1870年代の、まだ開拓時代の名残があって鉄道がよく使われていたころのアメリカで、寝台車を連結した列車に、食堂車が初めて登場しました。そこで出したパンが、当時としては珍しい四角い形でしたので、新しいもの好きのアメリカ人の間で話題になりました。この食堂車は、それを製造した会社の名前をとって「プルマンカー」という愛称で親しまれましたので、そのパンも「プルマン」と呼ばれるようになりました。
一般財団法人 製粉振興会
http://www.seifun.or.jp/wadai/basket/basuketuto-06_07.html
19世紀のはじめごろのこと。欧米では鉄道が普及し、食堂やもちろん厨房など、さまざまな設備のついた快適な寝台車が走るようになりました。その列車内で、当時一般的だった山形食パンを焼こうとしたところ、狭い車両のオーブンでは頭がつかえてしまい、うまく焼けず、苦肉の策でフタをして焼いたのが始まりとか。
また別の話では、パン工場などで大量生産向きに合理化するため、フタをして焼きはじめたのだとか。いずれの話も、その形が寝台車両にそっくりな事から、車両メーカーであるアメリカのプルマン社にちなんで、プルマンタイプなどと呼ばれるようになったようだよ。
辻調グループ
https://www.tsujicho.com/oishii/recipe/pain/benchtime/shokupan.html
個人的には、これらの説を知った時に、
プルマン社の寝台車と、四角い食パンの形が似ている、
というはちょっと違和感を感じたんです。
というのは、プルマン社製の当時の車両の屋根は、まっ平らではないんです。
こちらのページに図がありますが、角が丸くなっていますよね。
この形をあえて、山形パンとは違う、上が平らな食パン(という当時としてはめずらしい形のパン)に似ている!と思うのかなあ。
あ、でも、もしかすると、
角食パン、といっても、今のヤマザキのパンのように、角が全部きっちり出ているわけではなく、
ちょっと上が抑えられて平らで、角は丸かったのかな?それなら車両に似ています。
「プルマン氏」はパン職人なの?
ここまで、けっこういろいろ検索したりして、調べたのですが、
プルマンべーカリー以外には、
プルマンという人が角食パンを作った
と読み取れるような情報はありませんでした。
もしかすると、「作った」とは、
「食堂車の小型のオーブンでは山型のパンを焼けない→だったら蓋をして焼けばいいじゃん」
あるいは
「食堂車の狭い空間で、詰みかさねやすいように四角いパンにすれば?」
あるいは
「当時としては新しい買った四角いパンを導入しよう」
などを、プルマン社トップのプルマン氏が指示した、という意味で、もんのすごーく端折って「プルマン氏が四角い食パンを作った」と書いているのかもしれません?
日本にも「食パン電車」と呼ばれた車両があった
こちらの、国鉄419系は、かつて北陸本線で活躍していた車両で、「食パン電車」という愛称で親しまれていました。
こちらは
パンが社長の形に似ている、
ではなく、
車両がパンの形に似ている
ということなんですけれど、
調べている中で、この車両の写真を挙げて、プルマンブレッドの説明をしているものがありました。
プルマンブレッドの由来と、食パン電車の話がごっちゃになっているケースもあるみたいです。
プルマン、という地名もある
アメリカにはいくつかPullmanという地名があります。
その中で、ワシントン州のプルマン市(兵庫県加西市と姉妹都市提携をしている)は
プルマン社の創業者が、ワシントン 州立大学(Washington State University,WSU)の設立と、小麦の生産に大きく貢献したそうです。
プルマン社の寝台列車で提供されていた食パンにも、プルマンシティ産の小麦が使われていた、ということも考えられるなあ(推測)。
まとめ
調べたといっても主にネット上の情報で、英語の一次文献などには当たっていませんが、
逆に、
いくつかの説があり、どれもが、これが正しい、とは言い切れない状況だということが分かりました。
けっこう、こうした語源、由来、ってテレビ番組などでは
「これだ!」(ちっちゃく複数の説がありますとテロップ)と断定口調で言われることが多いので、
今回、いろいろ調べてみて、
これに関連して、
今では当たり前な、スライスされて売っている食パンを最初に日本で発売したのが京都の進々堂といったことも分かっておもしろかったです。
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